この記事を書いた人

いのまたクリニック 院長 猪又雅彦

日本内科学会 日本循環器学会
日本心臓病学会 日本睡眠学会

【関わる全ての人を笑顔にすることが私たちの使命です。】

睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome;SAS)とは

初診時の際は、診察時間を多く頂きますのでお手数ですが、 お電話もしくはインターネットにてご予約をお願いいたします。

睡眠時無呼吸症候群(以下SAS)とは、寝ている間に気道が何らかの理由で塞がってしまい、呼吸が止まってしまう疾患です。日本における有病率は男性で約3.3%、女性で約0.6%と男性に多く見られます。SASの患者さんは寝ている時に大きないびきを伴っていることが多く、大きないびきの消失とともに呼吸が停止し、この状態が数十秒続くと脳が呼吸を再開させるために覚醒し、呼吸が再開し脳が眠りにつくとまた呼吸が止まる、といったことを一晩中繰り返します。その結果、睡眠を十分に取ったつもりでも実際には満足な睡眠が得られていないので、疲れが残ってしまったり、昼間に耐え難い眠気が現れます。

SASを治療せずに放置をしてしまうと、以下のようなリスクがあります。

  1. 不快な自覚症状(昼間の眠気、集中力・記憶力の低下、倦怠感など)
  2. 居眠り運転や不注意による交通事故
  3. 高血圧症や心筋梗塞、脳卒中などの合併疾患の発生や再発

睡眠時無呼吸症候群の症状

毎晩大きなイビキをかくと家族や周囲に言われる
居眠り運転をしてしまう
睡眠中に呼吸が止まると家族や周囲に言われる
体がだるい
しばしば、息苦しさで目覚める
肥満気味だ
寝汗をかくことが多い
血圧が高い
車を運転中に居眠りする
昼間(会議中など)に強い眠気がある
寝相が悪い
よく眠った感じがしない
朝、目を覚ました時に熟睡感がない
朝起きると頭痛がする
日中に眠気が強く、目を覚ましているのがつらいことが多い

睡眠時無呼吸症候群になりやすい方の特徴

睡眠時無呼吸症候群の患者さんによく見られる所見として、

大きなイビキ
下顎が小さい
肥満傾向にある
舌が大きい
鼻のつまりが強い
軟口蓋が長い

などが挙げられます。ただし、これらに当てはまる所見のある人全てがSASになるわけではありません。逆にこういった所見がなくてもSASになる方もいます。

何科に通院すればよいのか?

内科、耳鼻科、歯科など色々なクリニックで診察をうけることが可能です。
睡眠外来を専門で行っているクリニックもあります。ホームページなどを閲覧して、睡眠時無呼吸症候群の情報が掲載されているクリニックへ通院することをおすすめします。

閉塞性SASの合併症(もしSASを未治療で放置した場合)

閉塞性SASがもたらすリスク

短期的なリスク
起床時の頭痛、頭重・倦怠感、集中力・記憶力の低下、日中の眠気、交通事故、生産性の低下、作業ミスによる労働災害
長期的なリスク
高血圧症、糖尿病、心不全(30~40%はSASを合併していると言われる)、 心血管障害、夜間突然死、脳梗塞、認知障害、発育不全(小児のSASでは、特に発育障害が問題となります。これは睡眠が障害されると、睡眠中に分泌される成長ホルモンの分泌が不足するためと言われています。呼吸が止まっていなくても、いびきをかいていることは、正常な呼吸とは言えません。)

治療について

持続陽圧呼吸療法(CPAP療法)

当クリニックでは、SASに対してCPAP治療(持続陽圧換気治療)が必要な患者さんのCPAPの導入および外来管理を行っています。

睡眠スケジュール表のご案内

当院では、治療を行う上で「睡眠スケジュール表」の記入をお願いしております。 適切なライフスタイルの調整が、治療の効果をより高めます。

当院でもお渡しは可能ですが、下記より睡眠スケジュール表のダウンロードが可能です。 記入例もありますので、一度どんな内容なのかご覧ください。

睡眠時無呼吸症候群の治療の流れ

【1回目の受診】当院へ受診し睡眠時無呼吸症候群の検査を受けるかを決定
  1. 必要書類への記入「携帯用睡眠時無呼吸検査装置賃貸借・データ処理」
  2. パンフレット「簡易検査を受けられる方へ」
  3. 次回受診日(約3週間後)の予約

指の酸素飽和度センサーと鼻の気流センサーを装着していただきます。

当院で検査機器の説明をしてお渡しの場合

  1. 当院にて検査機器をお渡しし、使用法の説明をさせていただきます。当日機械が空いて居れば当日に可能なこともあります。
  2. 自宅で寝るときに指示書に従って機器をつけていただきます。1〜3日間の測定が可能です。
  3. 終了後、当院へ機器の返却をお願いしています。
  4. 約3週間後に結果をお話しております。

郵送で自宅で機器を受け取りの場合

  1. 書類への記入をしていただきます。
  2. 自宅で機械を受け取り、同封の手順書に従い、検査を行っていただきます。
  3. 返送用のキットで送っていただいてから1週間後以降で結果を説明いたします。
【2回目の受診】検査結果説明(初回より約3週間後)

結果レポートが当院に届きます。

検査結果後、経鼻的持続陽圧呼吸療法(CPAP)を開始する必要がある場合

  1. パンフレット「CPAP療法を始めよう」
  2. CPAP導入の為に、1時間ほど当院にてお話を聞いていただけるご都合のいい日程を決定
【3回目の受診】CPAP導入の為のご説明(1時間程度)
  1. CPAP導入の為のご説明(1時間程度)
  2. 装置をお持ち帰りになり、自宅で使用開始
【4回目の受診】月に1回受診して頂き、CPAP中の呼吸状態の診察

※ 就寝中の呼吸状態はインターネット経由で送信されているため、受診時に持参して頂く必要はありません。

治療について

持続陽圧呼吸療法(CPAP療法)

寝ている間に鼻マスクより空気を送り、軌道の閉塞を防ぐ治療法です。睡眠時無呼吸症候群の最もスタンダードな治療法で有効性・安全性が高く、即効性があります。副作用が少ないのも特徴です。

マウスピース

マウスピースは、イビキや無呼吸の程度が比較的軽症〜中等症の方に適しています。寝ている間に装着することで、下顎が前に移動し気道を拡げ、イビキや無呼吸を軽減させます。*マウスピースは歯科医院で作成していただきます。

外科的手術

イビキや無呼吸の原因が、肥大した扁桃や長い軟口蓋の場合、それらを切除し気道が塞がらないようにする手術です。